大人の外来
「風邪は治ったはずなのに、咳だけが残っている」
「会話をしたり、冷たい空気を吸うと咳き込んでしまう」
「夜、布団に入ると咳が出て眠れない」
このような症状で、市販の咳止めを飲み続けている方はいらっしゃいませんか? それは風邪のしつこい残りではなく、「咳喘息(せきぜんそく)」という別の病気かもしれません。
近年、急増しているこの病気は、放置すると本格的な「気管支喘息」に移行してしまうリスクがあります。今回は、咳喘息の特徴と、当院での治療方針について詳しく解説します。

咳喘息は、慢性の咳だけが続く病気です。気管支喘息の亜型(一歩手前)と考えられており、空気の通り道である気道の炎症と過敏性が原因です。
気管支喘息がゼイゼイ、ヒューヒューといった喘鳴を伴うのに対し、咳喘息は咳が長引くことが唯一の症状である点が異なります。
アレルギー炎症などにより気道が過敏状態となり、刺激によって気道が伸縮することで咳が出やすくなる、いわゆる気道過敏状態が原因と考えられています。
診断の重要な手がかりは、気管支拡張薬によって咳が改善することを確認することです。
「ゼーゼーしないから喘息ではない」と自己判断しがちですが、これこそが咳喘息を見落とす落とし穴となり得ます。
こんな症状はありませんか?
以下の項目に当てはまる数が多いほど、咳喘息の可能性が高まります。
ガイドライン上の定義では「8週間(2ヶ月)以上続く咳」とされていますが、2ヶ月も咳を我慢する必要はありません。「3週間以上」咳が止まらない場合は、迷わず受診してください。
明確な原因は解明されていませんが、背景には「アレルギー体質」があることが多いとされています。
風邪(ウイルス感染)の後に発症することが最も多いですが、花粉、ハウスダスト、ペットの毛、ストレス、気圧の変化(台風など)も引き金になります。
また、女性に多い傾向があり、 ホルモンバランスの影響や、家事などでハウスダストに触れる機会が多いことなどが関連していると言われています。
長く続き咳には様々な原因があり、「咳喘息の薬を使っても良くならない」という場合、逆流性食道炎(胃酸が喉を刺激する)や、副鼻腔気管支症候群(蓄膿症の後鼻漏)が合併しているケースがあります。当院では、これらを見逃さないよう丁寧に問診を行います。
「普通の風邪」や「肺炎」「結核」などを除外しながら診断を進めます。
「いつ咳が出るか」「何をした時に出るか」が診断の鍵です。
肺炎や肺がんなどの異常がないかを確認します。
※「気管支拡張薬を使って咳が止まれば咳喘息」という診断的治療を行うこともあります。
治療の基本は、気道の炎症を抑える「吸入ステロイド」と、気道を広げる「気管支拡張薬」です。これらが1つになった配合剤をよく使用します。 当院では、患者様のライフスタイルに合わせて薬を使い分けています。
下記に代表的な吸入薬をご紹介致します(もちろんその他多数の薬剤を使い分けて処方しております)
忙しい方や、吸入を忘れがちな方におすすめです。
メリット: 1日1回吸えば24時間効果が持続します。操作が簡単で、費用も比較的安価です。
デメリット: 人によっては声が枯れやすい(嗄声)ことがあります。
咳の波が激しい方や、自分で調整したい方におすすめです。
メリット:定期吸入に加え、**発作的に咳が出た時に「追加吸入」**ができます(速効性があります)。
デメリット: 1日2回の吸入が必要。吸い方に少しコツがいります。
当院では、医師だけでなく薬剤師(または看護師)とも連携し、正しい吸入方法をしっかりレクチャーします。
咳喘息の疑いがあれば、当院では初診の日に吸入薬を処方し、まずは1週間様子を見ていただくことも多いです。
ただし、大切なこととして、 吸入薬を使うと1週間ほどで咳は治まりますが、そこで止めないでください。 気道の火事(炎症)はまだ燻っています。
完全に火を消し、再発を防ぐために、症状がなくなってから約3ヶ月程度は治療を続けることを強く推奨しています。
咳喘息の患者様の約30%が、本格的な「気管支喘息」へ移行してしまうと言われています。 しかし、早期に適切な治療を行えば、完治を目指せる病気でもあります。
「日中は仕事ができるから…」と我慢せず、長引く咳にお悩みの方は、笹塚駅徒歩2分の当院へご相談ください。 夜しっかり眠れる生活を、一緒に取り戻しましょう。